完母で穏やかな授乳タイムを過ごせた私ですが、実はその裏には、母乳が思うように出ず、さらに乳頭の痛みも重なって「もう無理、やめたい」と母乳育児を諦めかけた時期がありました。
それでも試行錯誤を重ね、周りに助けられながら、最終的には完全母乳にたどり着くことができました。
母乳は、出産直後から十分に出るものではありません。
だからこそ、これから出産・育児を迎える方が不安にならないように。
そして、今まさに母乳育児で悩んでいる方が「私だけじゃないんだ」と少しでも安心できますように。
私が完全母乳になるまでのリアルな過程を綴りました。
この経験が、どなたかの心をふっと軽くするきっかけになればうれしいです。
母乳はいつから出るの?
妊娠・出産により、ママの体からはホルモンの働きによって自然と母乳が出るようになります。
ただ、最初のうちは母乳分泌量が十分ではありません。
分泌量だけでなく、乳頭のコンディションや、赤ちゃんが飲み慣れていないなどの要因も重なって、母乳分泌が増えず、母乳育児をあきらめてしまう方もいます。
私の体験談
理想の産後
妊娠中の母親学級や育児本・ネットの情報を通して、私は母乳育児のメリットに沢山触れてきました。
- 母乳には赤ちゃんに必要な免疫物質や栄養が豊富に含まれている。
- 自然と肌と肌が触れ合い、スキンシップをとれる。
- 赤ちゃんが乳頭を吸うことで子宮収縮が促され、産後の出血を抑える働きがある。
- 妊娠中に増えた体脂肪を減らす効果があり、産後の回復を助けてくれる。
こうした情報を知るたびに、
「混合でもいいけど、母乳をあげつつミルクの用意は大変だしな…できれば母乳育児で育てたい。」
そんな気持ちが自然と強くなっていきました。
初産は経産婦より母乳が出るのが遅いと聞いていたため、妊娠中からできることをしようと、自治体の母親学級で教わった乳頭マッサージを臨月から続けていました。
痛みと焦りと「出ない」現実
初産は経産婦に比べて母乳が出るのが遅いと知っていものの、出産から1日たっても母乳は出ませんでした。
さらに、私自身の出血量が多く、産後丸1日母子別室で過ごすことに。
「赤ちゃんに吸ってもらわない期間が長くなるほど、母乳が出なくなる」と助産師さんから聞いていたため、3時間おきにベッドで乳頭マッサージを行い、なんとか刺激を与えようとしていました。
出産の疲労で体がだるく、会陰切開の痛みで眠れない。そのうえ、夜中に赤ちゃんに吸ってもらえないまま、ひとりで乳頭マッサージを続ける状況は、当時の私にはとても惨めに感じられました。
母乳が滲み出してきたのは、産後2日目でした。
ちょうど母子同室になったタイミングで、まだ数滴でしたが、赤ちゃんに吸ってもらえるようになりました。
しかし、胸はパンパンに張っているのに、吸われても飲まれている感覚がなく、ただ乳頭が引っ張られて裂けるような痛みだけがありました。
そのため、助産師さんからはミルクを足すことを提案されました。
頭では「最初から十分な量が出ないのは普通」とわかっていたはずなのに、産後の疲労、寝不足、会陰切開の痛み、乳頭と胸全体の痛み、入院中の慣れない環境…。いろいろなことが重なり、ミルクを足すことへの罪悪感や、赤ちゃんに十分な母乳をあげられない無力感で、マイナスの感情でいっぱいでした。
進まない授乳、深まる傷
産後3日目も、胸はパンパンに張ったまま。張りすぎて自分でもうまく搾乳できず、赤ちゃんも飲めない状態でした。
乳頭の傷はどんどん増え、ついには血が滲んできました。
助産師さんに相談し、ベッドで搾乳してもらいましたが、胸を絞られる痛みに耐えながら取れたのは10㏄だけ。それでも、その10㏄がとても嬉しく感じました。
その後は「毎回吸わせると傷が悪化して授乳がつらくなるから、2回に1回は搾乳したものをあげましょう」と助産師さんから言われ、搾乳と授乳を繰り返す日々。
それでも吸われるたびに乳頭は裂け、出血し、授乳後は乳頭クリームを塗る…その繰り返しでした。
退院の日も、出口が見えないまま
退院当日になっても状況は変わりませんでした。
母乳量は増えてきたものの、赤ちゃんが欲しがる量には足りず、毎回ミルクを30㏄ほど足していました。吸われる痛みは続き、授乳のたびに出血。
『このまま続けるのは無理かもしれない』
そんな思いが頭をよぎるようになりました。
出産10日目。
母乳トラブルを抱えたまま退院し、乳頭の痛みに耐えきれず、母乳育児を諦めてミルクで育てようと思っていました。
しかし胸はパンパンに張ったまま。
放置すると胸全体が熱を持ち、ズキズキと痛む。
母乳のやめ方もわからず、どうしたらいいのか途方に暮れていました。
諦めかけた時に出会った人
『母乳を諦めるにしても、まずは胸がパンパンに張って痛い状況をどうにかしたい。』
そんな思いで自治体の保健師さんに連絡をし、母乳マッサージを専門に行っている助産師さんを紹介してもらいました。
この時私は、母乳量を増やしたいわけではありませんでした。
『とにかく今の胸の状態をラクにしてほしい。』
『こんなに辛いなら、ミルクで育てたいから母乳を止める方法を教えてほしい。』
そんな気持ちでいっぱいでした。
ところが、母乳マッサージを受けてみると、1回目から驚くほど乳頭とその周りが柔らかくなり、胸も軽くなりました。
乳頭周辺が柔らかくなったことで、吸われる痛みも激減し、赤ちゃんも吸い付きやすくなったようで、飲み方が明らかに変わりました。
母乳育児を諦めかけていた私に、
「いいおっぱいだよ。パンパンに張っているのは母乳を作っている証拠。今、古い母乳出してあげてるから、胸が空っぽになればまた新しい母乳がどんどん作られて、赤ちゃんも飲んでくれるよ。」
と助産師さんが前向きな言葉を沢山かけてくれました。
その言葉と、助産師さんのあたたかい笑顔が、本当に心の支えになりました。
変化の兆し:少しずつ増えていく実感
助産師さんからはさらに、
「これだけ母乳が出ているなら、あと3回~5回くらい母乳マッサージをすればミルクを足さなくても大丈夫になりそうだよ。」
と言われました。
『本当に…?確かに胸も乳頭も柔らかくなったけれど、また張ってきたら自分ではうまく絞れないし、赤ちゃんに飲んでもらえるかも不安…』
そんな気持ちが正直ありました。
それでも数日おきに3回マッサージを受けると、母乳量もどんどん増え、本当にミルクを足す必要がなくなりました。
母乳育児をやめようと思うほど辛かった『乳頭を吸われる痛み』は、2回目のマッサージを受けた頃にはほとんど消えていました。
赤ちゃんに飲んでもらった後、初めて「胸がすっきりした」感じられたのも、この頃です。
栄養のある食事と水分補給を心がけ、母乳マッサージを継続したことで、私は完全母乳にたどり着くことができました。
赤ちゃんの飲み方も変わり、今まで口先だけでチュパチュパしていたのが、「ゴクゴクゴク」と口全体と喉を使って飲むようになりました。
その変化が、私にとって大きな励みになりました。
まとめ:出産を控える方、今悩んでいるママへ伝えたいこと
母乳育児は、母乳の出方も赤ちゃんの飲み方も、本当に人それぞれです。「自然にできるもの」と思われがちですが、痛い・出ない・吸えない・眠れない…と、実際は想像以上に大変なことばかりです。
胸のつらさをどうにかしたくて受けた母乳マッサージがきっかけで、私は結果的に完母になれました。
でも、ミルクを足したときに満足そうに眠る我が子を見て、「ミルクがあって良かった」と心から思った瞬間も忘れられません。
母乳が出ないと不安になったり、自分を責めてしまったり、周りと比べて落ち込んだり…授乳の悩みはどうしても一人で抱え込みがちです。
でも、母乳でもミルクでも、赤ちゃんの体重が順調に増えていて元気に育っていればそれで十分。
完母でも混合でもミルクでも、どの選択にも“赤ちゃんを大切に思う気持ち”が込められています。
今回の体験談が、今悩んでいる方の希望になり、心を少しでも軽くできますように。
どうかプレッシャーではなく、「こんな人もいたんだ」とそっと受け取ってもらえたらうれしいです。
こちらの記事では、母乳育児で支えになったもの、逆に合わなかったものも正直にまとめました。よかったら参考にしてみてください。


